サラスの公式(Sarrus’s rule)は、3次正方行列の行列式を計算するための簡単で効果的な方法です。この公式を使うことで、従来の計算方法よりも速く、簡単に行列式を求めることができます。具体的には、次のように行います。
行列は以下のように表されるとします:
$$ \begin{pmatrix} a & b & c \\ d & e & f \\ g & h & i \end{pmatrix} $$サラスの公式を使うと、行列式は次のように計算されます:
$$ \text{det} = aei + bfg + cdh – ceg – bdi – afh $$サラスの公式の背景
この公式は、19世紀のフランスの数学者フリードリッヒ・サラスにちなんで名付けられました。彼は左上から右下への対角線と、右上から左下への逆対角線を考え、計算を簡素化する方法を発展させました。以下の視覚的表現を見てみましょう。
サラスの公式の使い方
サラスの公式を使う際のポイントは、行列の列の順序や符号に注意することです。次の手順に従うと、よりスムーズに計算できます。
- 行列を横に並べて、最初の2列をコピーする。
- 左上から右下のラインを引く(サラスの公式では “+” 記号)。
- 右上から左下のラインを引く(サラスの公式では “-” 記号)。
この方法は特に大学入試において、計算を迅速に行うための必須スキルです!
例題
では、具体的な例を見てみましょう。
次の行列の行列式を求めます:
$$ \begin{pmatrix} 1 & 2 & 3 \\ 4 & 5 & 6 \\ 7 & 8 & 9 \end{pmatrix} $$この行列にサラスの公式を適用すると:
det = 1*5*9 + 2*6*7 + 3*4*8 - (3*5*7 + 2*4*9 + 1*6*8)
計算の結果、行列式は0になります。これは、行列が線形従属であることを示しています。
サラスの公式のメリット
- 直感的理解がしやすい。
- 計算が速いので時間短縮に繋がる。
- 視覚的なアプローチなので、記憶しやすい。
サラスの公式の限界
ただし、サラスの公式には注意が必要です。この方法は3次正方行列にのみ適用可能です。4次以上の行列の場合は、他の計算方法を使う必要があります。たとえば、デターミナントの展開法や、LU分解法などの技術があります。
サラスの公式は簡単で効果的な方法ですので、是非習得して、数学の楽しさを実感してみてくださいね!😊